
国華黒(染めの店 なかむら)
廣澤:釜の温度はどれくらいまで上げていくのですか?
早田:色を出すには温度は高い方がいいので100℃くらいまで上げるのが望ましいのですが、高すぎると糸が縮んでしまうので95〜96℃が良いと考えています。
廣澤:温度はどうやって測るんですか?
早田:温度計も使いますが、最終的には職人が目と鼻で判断して調節するんです。長年やっていれば、染料の様子と香りからだいたいこれで良いだろうというラインが分かってくるんですよ〜。でも、これだけ温度を上げるので、夏なんかは釜のそばにいるのが大変ですね〜(涙)
廣澤:でも、冬はあったかいですよね!これは職人ならではの悩みですね(笑)他にも何か、染める上で大変なことや困ったことってありますか?
早田:そうですね、いろんな物が全て染まるというわけではないので、その点に注意が必要です。染まるのは綿・麻・絹・ウールという天然繊維と、レーヨン素材のものだけなので、化学繊維は染まらないのです。しかし、中には100%絹だと信じて着ていらっしゃるものを染めてみて、まだらになってしまってから化学繊維入りだと分かってしまうということもあるんですよ。ですから、ちゃんと染まるかどうか怪しいものは、目立たないくらいに生地を切ってまず染まるかどうか試しています。それで染まらなければ正直に話してお断りしています・・・
廣澤:染まらない物もあるんですね〜!その辺りはお客さんの理解が必要なのですね。昔は着物を染めていたと伺いましたが、着物は天然繊維なんですか?
早田:そのとおり、着物は100%絹ですので、とても綺麗に染まります。昔の人の知恵や業(わざ)はすごいなあと思ってしまいますね。でも、昔は釜が木材だったので、染める職人の心の状態によって染まる色が微妙に変わったりしたそうです。今は釜がカネ製なので、職人の心で色が変わることは無くなりましたが、それでも布というのはとても繊細なので、染める時間であったり染めた後のシミ抜きであったりというように、染める最中から染めた後の工程まで毎回気を使いますね〜。
廣澤:なるほど〜!一朝一夕ではできないからこそ伝統工芸なんですよね。年々こういったお店が少なくなっているのはとても残念ですが、逆に、染め直したいというお客さんの方は増えているのでしょうか、減っているのでしょうか?
早田:不思議なことに、染め直したいというお客さんは年々増えています。捨てるに捨てられない愛着のある洋服やコート、型は好きだけど色だけ気に入らないスーツ、あるいはもともと黒の服をもう一度黒に染めなおして着る人もいます。染め直すと生地の感じが変わり、色にも生地にも味が出て気に入る人がほとんどですね〜。
廣澤:染めのおかげで愛着のあるものやまだまだ着られるものを捨てずに大事にできるので、とても良いお仕事をされているなあと思います♪今日はいろいろと聞かせて頂き、本当にありがとうございました!どうかこれからも、京都にある数少ない伝統工芸店としてこの工房と技術を守っていって下さいね!!
早田:いえいえ、こちらこそいろんなお話ができて楽しかったですよ。伝統産業の一つである色染めを一人でも多くの方に利用してもらい、お気に入りの服を増やして頂ければ嬉しいですね♪
取材日:2004.06
【廣澤のつぶやき】
実際に染めの様子を見ることができて楽しかった〜!!出来上がりの洋服は雰囲気が一味も二味も違って、ますます愛着が湧くのも当然だと思った。染料があんなに綺麗なのは、きっと京都の水が綺麗だからなんだろうな〜。私もいつかきっと、飽きてしまった服を早田さんに染めてもらうぞ〜♪
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